またしても前回のつづき。多すぎる脂肪はノーサンキューだが、ある程度はないと困る。ホルモンのバランスやなんかに良くない。基本的に脂肪は悪ではない。とくに女性の場合は極端に減らすのは考えものである。
男性の場合、市販の体脂肪計で計って率が一ケタならそれで満足すべきではなかろうか。あまり削るのは長期的に見て健康的ではないと思う。
それで慣れていて問題がなければそれはそれでいいのかもしれないが。その時その場所で結果を出さねばならないプロクライマーは別として、われらウィークエンドウォリアーには仕事も家庭もあることだし、あまりつきこまないほうが良さそうである。
ちなみに筋肉は脂肪の3倍重いから、こちらをどうにかするほうが減量にはよほど近道に思えるが、狙った部位を減らすのは、部分痩せと同じで無理筋のようである。
とりあえず確実にいえそうなのは、
1 オーバーカロリーになると脂肪と筋肉が増え、このときに筋トレをすれば効率的に筋肉がつく
一方で
2 アンダーカロリーなら脂肪と筋肉が減り、ここで運動をすれば(運動の強度によるが)筋肉が減るのをある程度防げる
3 脂肪を減らしながら筋肉をつけるのは(目方を減らしながら筋肉だけを増やす)不可能だと思ったほうがいい
このくらいである。
一般に、スポーツ選手はいったんバルクアップしてから、食事や運動量の調整によって脂肪を落としていく。ボディビルダーになってくると、筋トレの妨げになるので、減量のための有酸素すらあまり行わないようだ。
クライマーの場合はそこまで脂肪をカットする必要もないし、また持続的に力を発揮する必要はあるから、有酸素はある程度までとりいれていいと思う。
実際、われわれの多くの感覚としては年じゅう減量期で、ワークアウトどころかトレーニングもしないで実技一辺倒だから、有酸素が筋トレの妨げになるなどといわれても、あんまり実感が湧かない向きも多いものと思われる。
有酸素運動の具体的な種目を考えたとき、ものすごく長期的に考えるなら、水泳は骨密度も増えないし、何より膝や腰に負担がかからないので、適しているかもしれない。あとはランニングよりサイクリングのほうが、きっと関節にはやさしい。ただし、水泳の場合に肩の負担がどうなのか(ずっと水中ウォークする?)とか、サイクリングでは下半身に筋肉がつきすぎないかとか、はっきり言ってどこがどのくらい効いてくるかは簡単にはわからないから、気に入ったものを選んで行えばひとまずそれでよさそうである。
だいたい、下半身の筋肉は生活の基本をなすわけで、これがつきすぎると心配することじたい、なんだかちょっと不健康な気がする。競輪選手みたいな脚になったら影響が出るかもしれんけど。
最近ではダイナミックな動きやコーディネーション系の動きが必須になってきているから、適切な下半身の筋力と柔軟性は、以前に増して重要になっている。「筋肉がついちゃうから」などといって敬遠するのはナンセンスだろう。(も少し、続く)