公案

 昔は「面倒」などという単語は禁句だった。言うと必ず殴られた。

 

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 イカ釣りtipsの続き。順不同。

 

krokovski1868.hatenadiary.com

 

・間合いを詰めたイカが何度も警戒して離れるようなら、離れる直前でエギをイカから逃げるように操作する。

 

・触腕だけのアタックを繰り返すようなら、アワセを入れない。触腕がカンナに触れてエギがスーと引かれるのを確認してから、ラインを張ってゆっくりリーリングする。

 

・エギを横抱きしている時はロッドをカンナの方に引く。イカがエギを抱いた部分が支点となり、カンナがイカの方に向かって移動するのでフッキング率が上がる。 

 

・強風下で袋が大きくなるなら竿捌きで小さくするよう心がける。ロッドティップを下げて風上に向ける。

 

・ラインメンディングをして自分の竿の角度を作って、その変化でアタリを見る。

 


 下から2番目について補足すると、竿先と水面の間で、糸の弧を自分でつくってその変化を見るのだが、風が強いと糸がふくれてくる。それを「袋が大きくなる」と言っている。

 

 とくに感覚派の釣りプロは語彙や伝え方が独特なので、翻訳こんにゃくがほしいときがある。たとえば村上晴彦氏などは感覚と理論を高次元で融合しているにちがいないが、その仕方が独特すぎて余人にはなかなか伝わらない。


 イカ釣りでは重見典宏プロがそうで、傍らに杉原名人を置いてようやく言わんとしていることが何となく伝わる。イカを掛けながら「釣りにならないときは釣りになる釣り方をしたら釣れるんですよ」などと解説している位なので、もはやただの禅問答である。

 

 こういうのは本人たちも意図して言語化を避けている気味がある。言葉にすると不正確に固定されてしまうのが嫌なのかもわからない。

 

 何せ釣りのDVDは観ているだけで面白い。酒の肴にもちょうどいい。こんな調子で昼は国会中継を眺めて飯を食い、午後はゴルフを観ながらお茶を飲み、夜は釣り番組を流しながら酒を呑めるようになれば、だいぶ人間が出来てきたといえるのかもしれない。んなこたあ~ない。