指(5)

 またまた前回の続き。まとめると、

 

1 そもそも引きつけに必要な上半身の最低限の筋肉が足りない、または諸事情により全般的な上体の筋量を増やす必要がある、なら種々の懸垂でいいし

2 安全に指力を強化したければフィンガーボードにハングすればいいし

3 クライミングに即した状態の引きつけが要るなら大きめのキャンパスラングで大きな動きをすればよい。

 

 これをさらに推し進めると、

 

 1なら爆発的に拳上したり、タイプライター、マッスルアップ、フレンチーズ等の種目をしたり、片手懸垂をすることになるし、

 2なら以前の記事のプランA〜Cを行き来したり、変数をいじる(セット数、レスト時間、ホールドの種類、荷重)か、そこから懸垂するかになるし、

 3ならやはり変数をいじる(傾斜を変えるとか、指力が要るならラングを小さくする)か、種目を変えるか、それとも強傾斜のシステムボードトレーニングに移行するか

になる、のかな。

 

 タイミングと頻度について? 前に書いたからそれを参考にしてくだされ。最近の知見で、朝ぶら下がって、夜に登るのがいい、と聞いた。いわゆる1日2回セッションである。たぶん上級者向けと思われる。神経適応にはフレッシュさが不可欠だから、クライミングセッションの前にぶら下がった方がよく、直前だと明らかに疲れるから、昼間レストしろと、そういうことのようです。

 

 神経系はいったん疲れたら回復に48〜72時間かかると言われているので、理に合っているとは言い難いけど、実行はしやすいよな。前腕のような細かいパーツは回復が早い、という見地に立っているのだろう、おそらくは。ジムに来て、アップして、全開ハングをしてから宿題を回収しようという人はなかなかいないものね。宿題回収の方を優先したくなるのは人情である。

 

 おそらくセッションの強度でトレーニング順を考えるのだろうな。ホースト氏の言によれば、1回にひとつの代謝機構にフォーカスした方がいいから、パワーの日なら朝全開ハング→夜ボルダーで宿題トライだし、パワーエンデュランスの日なら朝BかCのプランでハング→夜4×4とか。登りに行けるなら登りの中で何とかするし、それで頭打ちになっているようなら1日2回セッションはアリかもしれない。

 

 それにつけても指トレのタイミングって難しい。回復度合いを測るにはやってみないとわからないところがあるから、かっちりしたスケジュールを組みにくいし、レスト日を指トレにあてるとこれが余計に難しくなる。その点で、ボルダーで動的に負荷をかける前に、朝の時点でフィンガーボードで調子を測れれば、怪我のリスクも減るかもなあ。一考の余地はあるかもしれん。