ボルダリングは数あるクライミングジャンルの中でもっとも手軽で、原初的で、たぶん純粋で、どんなクライミングにも必要とされる。オイシイところだけ食べるような贅沢さがある。
それでそのボルダーのためのトレーニングなのだけれど、眺めてみると膨大にあって、すぐに何が何だかわからなくなってくる。
純粋なボルダー力を高めるために必要なのは限界領域でのトレーニングである。手数のすくないボルダープロブレムにおいてハードなワンムーブを成功させるために、これが大きな役割を果たすことは疑いがない。
まあ要するに高強度のボルダーをやりなさいという話なのだけど、これについてプロクライマーのマット・ピンクスが、4つのポイントを挙げている。
1 高強度ボルダー課題をボルダリングではなくトレーニングであるととらえる
課題を登れるかどうかにこだわらず、限界までプッシュしてパワー向上のための刺激をフィジカルに与えることを目的とする。したがってトライしている課題がすべて登れてしまうようだと易しすぎる。3〜5つのハードムーブを含む、100%プッシュしてなおすぐには登れない、そんな課題を選ぶ。
それに適した課題がジムにない場合、
・課題のハードな部分だけをトライする
・ムーンボードなどを活用する
ことを考えなさい、とのこと。
2 靴を脱ぐ
裸足でトライせよというのではない、トライ間に靴を脱ごうという話。限界トライは神経系への刺激であるから、合間のレストが不可欠である。これはおおよそ5分(3分と言っているのもある。もっと長くとっているものもあるが、きっと強度によるのだろう)くらいはあけたほうがいい。
トライごとにフレッシュな状態になっていないと実のあるトレーニングにならない。気持はわかるが十分に回復しないうちに壁にとりついてはいけないということのようである。
3 ムーブの細部を意識する
さて、上記のトレーニングを行うと、とにかく何度もフォールすることになる。それ自体はいい練習ができている証拠だからOKなのだが、それだけでなく、靴を脱いでいるあいだに、ムーブをこまかく意識して、微調整することが重要である。
ここにはパートナーに動きを見てもらって示唆を受ける、登っている動画を撮って見直すといったことも含まれる。
4 量より質
「量は質に転化する」ということわざもあるが、このトレーニングにはあてはまらない。
いつこのトレーニングを行うか、またやめるタイミングだが、パワートレーニングだからフレッシュなときに行うのが大前提である。このトレーニングを行う前にはレストをとること。また、おわったときにパンプしたり疲労を感じたりするようではいけない。パワーが低下したと感じたらそこがもう止め時である。レスト日を入れて、回復して、フレッシュな状態になってから再び戻ってこよう。
以上、連絡おわり。