「さぬきの初夏はみじかい。ひと月あるかないかだ。屋島湾の今日の水温は17.3℃、春イカの産卵がはじまる。木材港にはサヨリ釣師がポツポツと。釣れていない。」

 

 ・・・などと書いていたのは5月ごろのこと。6~7月のハイシーズンは行きそびれた。

 

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 妻子がこども広場にいくのにあわせて磯へ。7月ころからあちこちの波止でチビサヨリをみかけてはいたので、ぼちぼち食べられるサイズが湧いているだろうとおもったら、ちゃんといた。自分の予想があたったというだけで、釣るまえからすこし満足した。

 

 結果はエンピツサイズを13尾。とにかくサイズがちいさい。昨シーズンより連玉ウキのサイズをおとしたのに、アタリはでない。そして相変わらずアタっても高確率ではじいてしまう。アタリウキなしの仕掛けをつかい、ハリスを多少みじかくして、ようやく掛かるようになったが、それでもアタリはとれていない。

 

 つまるところ、掛けか呑ませかで、どっちもはむずかしい。魚がちいさければなおさらである。自分がどちらの釣りをしようとしているか、どちらの釣りをせざるをえないかで、そのつど対応していくほかはない。

 

 竿が硬いとアタリをはじくので呑ませるのはむずかしいし、おもくゴツくなれば感知できないし、長くなれば合わせても反応はおくれる。ルナキアは先調子だが9.3フィートあるので、流れと風のなかでは呑ませ用である。4gスーパーボールにアタリウキなし、ハリは3号のハリス0.4号、これでもハリがかりしないとなると、割ときびしい。

 

 近距離ならもっと軽い仕掛けもありうるが、撒き餌なしでその状況になることはまれである。流線シモリを3つならべた仕掛けもつくって投げてみたが、やはりというか、絡みやすい。この仕掛けの総重量は2gで、これだとアタリはある程度でる。ここまでくるともはやアジングにならってサヨリングといったほうがちかいかもわからない。

 

 4gよりちいさいスーパーボールは100円ショップには売っていなかったので、アタリウキにつかうシモリ玉にチューブをさしこんでそのままつかうというのもやってみた。これだと飛ばしウキ兼アタリウキとなり、重量は2g弱である。

 

 チューブをいれているぶん、天秤効果を得られるので、流線シモリを半固定でつなぐよりは絡まずにすむが、肝心のアタリはでなかった。それでも釣れてくれれば問題はないのだが、やはりけっこうな確率ではじいてしまう。

 

 どうやらウキのひとつひとつが1g以下にならないと、エンピツサイズのアタリを目視できるようにはならないみたい。したがって海況と状況がよくないと、掛けていくのはむずかしい。

 

 畢竟、メカニカルなリズムを人間がだそうとするのとおなじで、ひとがアタリをとって掛けるというのは、ロマンにすぎないのではないかという気がしてきた。そうそうかんたんにアタリはとれない。遊動にすれば食い込みがよくなるというのも、眉唾だとおもう。

 

 手もとで感知したときには、エサを食べたあとで糸を引っ張られているか、暴れてエサをはじいた振動がきているかのどちらかだとおもう。前者について、アタリウキが1g以下だとアタリを目視できるレベルになり、また違和感がないのでサヨリもサシエを呑む公算が高い。そこまでいけばこちらから掛けなくてもはずれないので、結果的に釣れるかたちになる。

 

 問題があるとすれば、あまり呑まれるとハリをとりださなければならなくなるので、手返しがわるくなるという点。それでも掛けようとして釣れないよりははるかにマシである。

 

 いまのところハリをのまれてはいないので、反応がおくれているわけではないみたい。ハリが大きすぎるという線もかんがえられる。

 

 逆にハリを大きくしたほうが掛かることもあるというが、それにも限度があるとおもう。じっさいにためしたが、エンピツサイズにヘラ5号などもってのほかである。かんたんな状況ならべつかもしれないが、それをあてにしてはいけない。

 

 現状、ハリは2.5~3.5号、ハリスは0.4~0.6号でいくことに決定。エンピツサイズが相手なら、ハリは2〜3号が妥当ではないかとおもう。ハリの型によって、おなじ号数でも大きさはちがうので、じっさいに見て確認する必要がある。夢枕獏氏曰く、こんなにハリの種類が多い国は日本だけだそうである。

 

 なお、これまでの経験上、ハリスは0.4号より細くできない。また、スレバリうんぬんよりも、サシアミのサイズや硬さ、つけかたのほうがはるかに影響はおおきいように感じている。

 

 磯の先端は流れと風があるので見釣りにもしづらい。今日はサシアミが消えるのを目視できたのはいちどだけだった。

 

 サヨリは回遊魚で寿命も数年だから、釣りやすいのはたしかだが、それでも風と流れのなかで、撒き餌なしで捕食スイッチのはいっていない小魚にハリをかけるのは、かなり不自然なことなのではないかとおもう。だから仕掛けをかるくするし、糸も細くする。それくらいしないと呑まないし、アタリも目視できない。とうぜん手もとは何も伝わってこない。

 

 要は釣れるパターンに入るための工夫がたりない。なまじ反応があるせいで、かんたんに運まかせにしてしまうのがよくない。これではまるでパチスロである。レギュラーボーナスがでているからと回しつづけると、いずれ持ち玉はなくなる。ビッグボーナスを引けないと玉はふえていかないし、連チャンしないと勝つことはできない。

 

 水面のカガミになっているところをうまくつかうなりして、サシエを目視できる状況をつくって釣ることをもっと意識したほうがいいかもわからない。仕掛けをかるくするとピンポイントになげることもむずかしくなってくるのだが、ちょったほかに手をおもいつかない。

 

 とにかく、アタリがでてもウキはそうはうごかないし、糸を張り気味にしても流れと風がある状況で掛けるのはむずかしい。アタリを感知してから合わせても掛からない。そのときにはもうハリははずれたあとである。

 

 だから、仕掛けと自分が対応できていないと感じたら、サシエの周囲に波紋が立つのをまって、糸を張って竿で聴きながら流すしかない。要は誘いをかねてちいさい空合わせをするのである。釣った感じは乏しく、達成感もすくなく、反比例して疲労感が増大する。これではちょっと、ねえ。

 

 撒き餌なしに掛けられるパターンに出会えることは、パチスロでいえば設定5や6の筐体を打てるのとおなじで、相当まれだとおもったほうがいい。呑ませのレベルをどこにするかで、おもっているよりもいつも繊細に仕掛けを組んだほうがいい。

 

 どうしても実践では雑にしてしまいがちになるが、それを呑みこんできちっとこまかく釣る。釣れなくても投げやりにならずやりきるというのも、この延長にあるのだとおもう。遊びだからといって適当にやったら遊びにならない。それはただのわるふざけだ。

 

 釣り座と投げる方向、サシアミのつけかた、漫然とくり返さないでもうすこしフォーカスしないと、いろいろな条件下でコンスタントに釣るのはむずかしいし、状況にフィットできないときに納得して見切ることもできない。

 

 つくづく道通し。