ルートファインディング

 といってもボルダー課題の話。

 

 方向音痴の人っていますよね。反対に渡り鳥のような方向感覚を持っている人もいる。私はといえばまあ、人並みである。酒を飲んだ時の帰巣本能はマアマア高いと自負しているけれど。

 

 それはともかく、ボルダー課題でも、ズラーと並んだホールド(しかも複数個所にチョークがついている)を眺めていると、覚えず暗澹としてくることはある。これがコンペだったりしたらもっと大変だ。岩ならば時間制限は緩くなるものの、適切なムーブ解析をすることができれば、それだけ体力と指皮を温存できるよな。

 

 ずいぶん前に聞いた話で、ユース合宿か何かで「ちゃんとオブザべができないとそもそも課題に触らせない」というのがあったと記憶している。今もあるのか分からんが。私はというと、「何やってんだ」と言われそうだが、未だにテキトーに課題にとりついて後半キャンパまみれになったり、さんざんホールド配置を見たつもりがいざ壁に取りつくとスタートホールドを忘れたりしている。完全に酒のせいである。

 

 しかし真面目な話、登る前から全ムーブがわかることはそれほど多くないんじゃないかと思ったりもする。オブザべ…まず全体を見て、パートごとに見て、視覚化して…定石とかあるのかね?

 

1 全体を見る

 木も見て森も見る、のは難しいから、やはりここからだよな。いちおうクライミングは始点と終点が決まっているから、ここから始めるのがよさそうな。

 まずはスタートとゴール、そして核心だろう。スタートはスタンドかシットダウンか、それとも地ジャンか? マントルはどうか? あとはガバがあったら覚えておく。レストできるかもしれないから。隠しホールド的なものも頑張って探す。外ならチョークや靴のラバーの跡が手掛かりになりうる。続いて

 

2 つなぎ目を見る。つまりホールドとホールドの間。すなわちムーブ。『頭文字D』でいう峠の第3のポイントですね。これには視覚化が有効だろう。もちろん自分の身長、翼長、クライミングスタイルを考えつつ。それで

 

3 トライしたら、少しずつバラしはじめる。スタイルのことはひとまず措く。バラすのは核心からだろうな、やはり。全ムーブバラせたら、つなげに入る、か。いや〜、バラしきれなくてもけっこう登り出しちゃうけど。

 

 王道的なアプローチがあるとすれば上部→下部、だろうなあ。これならスタートに至る頃にはかなりメンタルが整うことだろう。何度もトップアウトするわけだから。

 

 あとはムーブがしっくりこない時に、どれだけ柔軟になれるかも大事そう。固まったムーブをいったんバラバラにする、バラした後でつながりかかっている中で特定のムーブをもう一度バラす勇気、この辺の判断が、課題との駆け引きになってくるのかな。ううむ、苦手だぜ。