強者の流儀?

 クリス・シャーマはトレーニングをしていない。最近はとりいれているみたいだが。デイブ・グラハムや、アレックス・オノルドも基本そのクチですね。

 

 トレーニングしろといわれて「いやだって「トレーニングなんかしない」と公言して憚らない強者もいるし」などと返したくなるのだが、その返しが言い訳にすぎない理由を考えるより、じつは彼らのクライミングが結果としてトレーニングになっているんじゃないかと、そんな仮説を検証したほうが早いような気がふと、したのです。

 

 たとえばシャーマ氏がルートを開拓したとして、ボルトを打って、トライするとき、ひとまずトライしてみて、いくつかのムーブができない、というような地点からはじまるはずだ。そして彼が複数のプロジェクトを同時にもっていることはよく知られている。フレッシュなメンタルを保つためだそうです。

 

 ともあれ、プロジェクトの初期段階では非常にみじかいセクションをつなげようとすることになるだろう。この段階は、ロープをつけた限界ボルダリングといえるよな。それを終えたときには、パワートレーニングが完了しているというわけ。

 

 そうして、ある宿題の全ムーブができるようになったとき、その課題用のパワートレーニングが終了して、セクション化に入る。で、セクション化がすんだら、セクション同士をつなげて、それができたらレッドポイントトライ、すなわちすべてのセクションのつなげに入る。

 

 これってまんまパワー→パワーエンデュランスエンデュランスの流れじゃないか。これでさらに長くてパンピーなルートから短くボルダリーなルートというように複数の宿題を行き来するならば、刺激が変わってますますプラトーに陥りにくくなる。

 

 おそらく、実際には「セクション化までは行ったプロジェクト」、「まだ核心部が解決していないプロジェクト」、「全つなげがあまりにも難しくいったん放置したプロジェクト」、「昨日ボルトを打ってすぐにでもトライしたいルート」のような感じになって、モチベーションに応じてトライしているのではないだろうか。

 

 複数の宿題を時に応じてトライすることで、宿題を打ちつづけながら煮つまるのを避ける・・・本人のクライミングのルーティーンがそのままトレーニングになっている説。これは強いわ。トレーニングしている自覚がないから、それ用にテンションを維持する必要がないという。

 

 つねにナチュラルにモチベーション最大。週末クライマーにも適用できんかな〜。