持久力(2)

 シングルピッチのスポートやボルダリング無酸素運動で、エネルギー産生としては乳酸系となる。無酸素と言われると「息しないのか」と思ってしまうがそうではなくて、酸素の量が足りなくなる位の高強度という意味だそうです。

 

 ビッグウォールや、ものすごく長いマルチピッチなら、有酸素の領域に入ってくるかもしれないが、スポートクライマーやボルダラーは有酸素と無酸素のミックスではなく、主に無酸素乳酸系の領域にいる。少なくとも、マラソンやサイクリングとはかなり違う競技であるといっていい。

 

 強いスポートクライマーでラン好きな奴は、ランができるから強いのではない。たまたまです。逆もまた真ならず。フロントレバーや片手懸垂をここに入れたら多少は真に近くなるものか、どうか。

 ラン好きな奴はメンタルが強い、とか、疲労に対する耐性がすごくある、とか、そういう理屈づけはできそうだ。理屈と飯粒はどこにでもひっつくから、好きなことをやめる必要はぜんぜんない。ランは回復にもいいし、適度な有酸素運動は生活の質を上げてくれる場面が多いと思う。ごはんもおいしくなるしね。

 片手懸垂だってフロントレバーにしたって、出来れば自信になるし、使える局面だってあるだろう。だいいち、役に立たないからやらないというのでは素っ気ないよな。クライミングだってそうだろう? 

 

 もちろん、クライミングが役立つ理由を考えることはそれほど難しくない。ただ、われわれはそれが役に立つから登っているわけではないということだ。趣味ってだいたいがそうですね。

 人の趣味的活動を指して「それ社会の役に立っているの」なんて聞いてくる奴はハッキリ言ってロクでもないと思う。このような問いはときおり自問するためのものであって、他人にぶつけるものではない。そういう人間に出会ったら、迷わず距離を置こう。

 

 山か森か河原に行くと、自然にそういうことも少なくなるから、やっぱり外はいい。岩に行こう。