課題

 いい課題、質の高い課題というのはそもそもどういうものなのだろう。登る側がそのとき求めるものと、セッターが提供するものが一致していれば、それはいい課題なのだろうが、それだとほんとうに「人それぞれ」で話がおわってしまう。最終的にクライマーを強くすることにつながっていれば、それはいい課題といってよさそうだが、その一方で「どんな課題もクライマーを強くする」といえてしまう部分もある。

 

 というか逆に、強いクライマーはどんな課題からでも気づきを得る。この点、どんな話からも教訓を引き出せるし、どんな髭剃りにも哲学はある、というのとそれほどちがいはなくなってくる。

 

 ジムにおける素敵な課題の要件を一介のリーマンボルダラーが考える。

 

どんなムーブで登っても難度がそこまで変わらない

身体の一箇所に極端な負荷がかからない

ホールディングが多彩

ホールドの効く方向と力の流れが考慮されている

左右対称(ジム全体の課題を見たときに)

 

 ちなみに上記の要素をことごとく加味しないのが岩。それがいちばん面白い。何じゃそりゃ。

 

 まあ、そんなことをいっても、岩の課題も人間が登っているわけだから、ラインとしてはいちおう可能な範囲に収まっている。リーチを例にとると、岩なら無数にあるなかからじぶんに合う課題を探せばいいのでことさら距離を云々しなくていい、としたほうが近い。

 いや、これにしても、登りたい岩の課題が海外のリーチ課題だったりしたら、これは大変である。

 

 何せ「遠い」とか「狭い」とかブツクサ言うのはまだしも、あんまり課題に文句をつけるのは、ちょっとカッコわるい。残念ながら筆者もそのクチである。

 以上、定期連絡。