減量、ダイエット(2)

 前回のつづき。思うに、体型に関して、自分がいまクライマーとしてどのへんに位置しているのか、客観的に把握しづらいから困るのではなかろうか。この点について、自分のなかにある程度の確信を持つことができないと、じっさいに減量を達成するのは飛躍的にむずかしくなってくると思う。

 減量にせよ増量にせよ、継続的に習慣を変えることになって、習慣を変えるのはそれだけで相当なストレスになるからだ。

 

 したがって、減量にあたっては、なぜ減量するのか、そもそも自分は減量すべきなのか、という部分を、自分の中で明瞭にしてから実行に移るべきだと思う。跳ぶまえに見ろ、ということですね。

 

 それで、己をマッピングするために、なんらか既存の尺度を探すことになる。まず体重−110というのがあるが、あまりに雑なので使いません。これだったらBMIの方がだいぶマシである。日本人の成人男性の平均でBMIは22(やせ型の人は21)、体脂肪率は17%といったところ。ちなみにブタの体脂肪率は15%程度だという。

 

 とはいえ、体脂肪は市販の体脂肪計では正確に測ることができないから、あまり気にしすぎないほうがいい。BMIにしてもずいぶんいい加減なものさしだけど、ないよりはマシだろう。

 

 これについて、英国のクライマーのトム・ランドールらがちょっとした統計をとっていて、それによると男性の場合BMIは最終的に21くらいが穏当であるとの結論が出ているようだ。昔のフランスでは代表入りの条件がBMI20以下だったこともあったらしいが、そこまでガチガチに考えなくてもいいみたいである。

 

 このBMIにしたところで、リードなのかボルダーなのか、目標課題の性質がどうなのか、考えて微調整する必要はあるから、ただの目安だ。現時点でこの数値を大きくはずれているようなら、気にしてみてもいい、という程度だと思う。

 

 だいたい、人によって骨の密度から内臓の大きさ、身体の各パーツの割合は異なるし、体質だってずいぶん違うのである。ためしに計算してみるとわかるが、やせ型でない、それなりに筋肉のつきやすい人間からすると、BMI20というのはほとんど実現不能な数値に見える。せいぜい21を目指すというくらいが穏当ではなかろうか。

 

 さて、それで目方を減らそう、となった時に、何を減らすかが問題になってくる。(つづく)