クライミングをしていると、怪我の話をよく聞く。
ひところよりパキっている人を見ることが減ったのは、メディアによる種々の情報のおかげで気をつける人が増えたのか、昨今のジムでカチ課題やポケット課題が地味で流行らないからか、そもそもフットホールドがポジティブなところが増えたからか、それらのミックスだろうな、おそらくは。
指、手首、肘、肩、首、背中、腰、膝、足首……ほとんど全身である。こうしてみると、クライミングが健康にいいというのはたいがいウソであるとわかる。ほどほどにつづければ生涯スポーツになりうるものの、この遊びは適度に行うことが極めてむずかしいから。どういうわけかギリギリのところがいちばんおもしろくなるようにできている。
障害予防に関しては、動画を含めウェブ上に膨大な情報があるから、調べればある程度は把握できる。その意味では、何の痛みなのか、原因がわからず不安に感じることは少なくなっているといえる。
ひとまず上半身だと
1 肘の内側痛はゴルフ肘を参照
2 肘の外側痛はテニス肘を参照
3 前腕のパンプはバイクレーサーの腕上がりを参照
4 手首についてはリバースリストカールとspinationで検索
首の痛みは、ちょっとよくわからない。何せ他種目のほうがスポーツとしての蓄積が多いので参考になるかと思う。
実際の対処にあたっては、鍛えるよりもととのえる意識でのぞんだほうがいいように思う。弱いところを鍛えるという発想は最善手とは思えない。コンディショニングに努めつつ、傷めない動きをさがすのが穏当なのではなかろうか。
総じて、怪我からとりだせる前向きな教訓があるとすれば、動きの改善のキッカケになるというくらいだと思う。怪我はしないにこしたことはない。登れなくなるのはほんとうにツラい。激痛だ。
登りたい課題のトライやコンペで限界を超えてしまうというならともかく、ようわからんトレーニングで痛めて登れなくなるなんてもってのほかである。ほんとうに。