この1年で竿を2本、どちらも釣りとは関係ないところで折っている。
トップガイドを折った竿を、2番目のガイドを先端としてそのまま使おうとしたが、どうにも具合がわるい。すこし力を入れて投げると糸が切れてしまう。ガイド絡みとも思えるがはっきりしない。突如として切れる。呆然とする。結び直す。また切れる。くりかえしである。
真ん中から折った竿は、器用な人に継ぎ直してもらったものの、思いきり投げたらやはりおなじ箇所が壊れてしまった。まあ、そんなに簡単には直せないよな。諦めきれずに根元の部分だけ使って投げたらタコが釣れた。これは、ひょっとしてそのへんの棒でもいいんじゃないか。
というか、タコ釣りについて調べてみると、どうやら手釣りというのもあるから、その応用で、カウボーイの如くタコエギを投げればいけるんじゃないか。竿もリールもなければ痛める心配もないものね。
浅場ならちょっと投げればすむし、それでちょっとやってみるかと、なかば本気で考えだしたところ、冬が来て、サッパリなにも釣れなくなった。寒さのために沖に出ていってしまったのだろうか。これまた定かではない。
そもそも冬の早朝はシティ中年にはこたえる。もはや修業である。
何せ、適正ルアーウェイトの上限までいかなくても、強めの糸を巻いても、投げるとちょいちょい糸が切れる。「キャスト切れ」などと検索して、投げ方を変えたり、糸を変えたりして、少しマシになった程度、魚を釣る以前に、釣りに行って何もロストせずに帰ってくるのを目標にしているような有様である。
運よく糸を切らずに遠投できても、ルアーがどこを泳いでいるのかよくわからない。エギを投げるとすこし水深があるだけで途端に何をしているのかわからなくなる。
こんな調子で1年やって数尾でも釣れたのだから、よほど運がいいのだろう。ビギナーズラックの存在は疑いようがない。
ぼちぼち2年目に入るので、すこしは釣れるかと思って、先週、久しぶりに河口に出かけたら、また糸を切って、雨の中を悄然として帰宅する仕儀となった。すこしも上達していない。チヌはたくさん見えたのだけどな。
これはもう、この1年で何ができるようになったか、という風に考えたほうがよさそうである。そう考えてみると、潮汐について知ったり、釣魚の生態を調べたり、糸の結び方を覚えたり、途端に有意義であったような気がしてくるからおかしなものだ。
道中すでに楽しいから、それはそれでいいのだろう。これで魚が釣れたら本当に言うことはない。