合力

 課題を分割して、パートごとにくりかえし練習する方法は、よく知られている。システマチックというか、勉強というか、コツコツ型というか、派手さはないが、たしかにほかの革新的なやりかたも思いつかない。

 

 強いていえばセッション効果とハイウェイ効果くらいだろうか。セッション効果は以前に述べたようにアメまみれになる危険性がついてまわる。ハイウェイ効果は、自分にとってめちゃくちゃむずかしい課題を触ることで普段の課題がやさしく感じるようになるというもの。打席に入るまえにマスコットバットを振るのと似ている。

 

 分割練は、たとえばルートなら

 

・スローピーな10手の1級のあとにガバがあって、7手の2級が続く。

必要とされるもの:パワー寄りのパワーエンデュランス

 

・ガツンとくる一手はないが顕著なガバもない15手の4級。

必要とされるもの:回復能力/持久力。

 

 というふうに、分けて行う。実際の課題をつかって2分おきに3セット、なんて実施している人もいるようです。世の中は広い。じぶんの感覚ではちょっと現実味がない。

 

 以下、プッシュのためのtips。

 

・一手出す

 トライの時は手を出して落ちるようにする。ボルダーでも、つなげトライの時はこれが不可欠。忘れていた。きびしい状況でも諦めないメンタルづくりに必須。

 これはまた根拠があるかしらんが、失敗しそうな時に一手を出すその時に強くなる、というひともある。主にメンタルの話だとは思うのだけど。

 以前に述べたラディカルなパワーエンデュランスのトレーニング案とおなじで、つづけていくと失敗と成功のあいだの細い綱をより長時間わたれるようになるのかもしれない。怪我に注意しつつ要継続確認。

 

・レスト時間を計る

 われわれはいつも思うほどレストできていないものである。気持ちはわかるが、神経系のゲージが戻るまで休もう。

 10秒も待てずにリトライするのは、これまた気持ちはわかるが妥当な策とは思われない。みだれうちだのマシンガントライだのいわずに「しっかり休んでホールドも磨いて、狙って一回でおわらせる」。これ、はじめた頃にジムのオーナーからいわれたなあ。まるで守れとらんわ。

 

・小宿題をつくる

 目標課題のほかに、もうすこし易しめな課題をもっておく。限界トライはフィジカルにもメンタルにも大きな負担がかかる。時間と労力を費やして、空手で帰ることも多くなる。そんな時にせめて小宿題を登って帰るようにする。完登は、長期間にわたって目標に挑むモチベーションを支えてくれる、ということで。

 フィジカルの維持に役立つ点も見逃せないポイントである。ワンムーブをバラしつづけるだけではどうしても偏るし、バラせたころに別のムーブができなくなっているというのでは、完登はむずかしいだろう。

 

 小宿題の位置づけは・・・ものによるのかな。目標トライ前のウォームアップの仕上げになることもあれば、目標トライの合間の気分転換となることもあるだろう。

 以上、定期連絡。