スキルの獲得段階(2)

 前回の続き。たとえばガイドライン策定、などが考えられるか。とっかかりだけのやつ。限界領域のボルダーを40分、1-4-7を3セット、フィンガーボード、体幹サーキット、とかそういうの。その日の調子に応じて選んで行うと。

 この前紹介したポール・ロビンソン方式ですね。これを続けるうちに、ガイドラインだったものが、より個別具体的な内容になっていく、そういうのが理想なんだろうな。

 

 その、スキルの獲得曲線って、もちろん一次関数的には伸びないし、よくある上達曲線みたいな感じが正しいのだろうと思うけど、もっと言うと線的ですらなく、むしろ周期的なんじゃないかという気がしてきた。睡眠のパターンや、年間の体重の変動、季節による気分の変化とか、そういうのと似ているように思える。山あり谷ありだ。もっともっと言うと螺旋みたいな雰囲気なのではあるまいか。

 

 大昔のギリシャの話で、仔牛を毎日担いで鍛え続けた男のエピソードがあるけれど、あれも、どうやらどこかの段階で担げなくなったらしい。そりゃそうだわな。どこまでも少しずつウェイトを増やしていってそれで能力が伸びるものなら、とっくの昔にオリンピックの重量挙げ記録は更新されまくっている筈だ。

 

 と、いうわけで、避けがたい谷の期間を受け入れて、ソリッドなピークづくりに役立てよう。言いかえるとこれは谷の時期にピークを作るものではないと、そういう理解になりそうである。

 

 で、ピークはいつ来るかって? それはたとえば、量をこなすトレーニングの後に来る。同時には来ません。直後にも来ません。

 

 過負荷の原則に従って、強度はそのままに6週間のうちに登攀時間を1.5倍に伸ばしたとしよう。たぶんクライミング能力は向上するが、フィジカルは蓄積疲労で下がるよな。それが戻った時にピークが来る。ピリオダイゼーションってそういうものみたいです。

 4週間サイクルで回すとか、6〜8週間サイクルで回すとか、アプローチの仕方はいろいろある。たぶん期間を延ばすほど、谷から平地に戻るまでに時間がかかるから、8週間以上のサイクルをあまり見かけないのかな。

 

 もっとも手軽そうなのは4週間で完結するパターンで、これは3週間ハードに漸進的に強度を上げて、4週目は完全レスト。たぶん4週目が終わる頃にはプチピークが来ることでしょう。本当かよ。

 まあこれは軽微な怪我明けとかちょっとした病気明けとか、微妙にモチが下がって休んだ後とかに、自然と起こっているものと推察される。

 

 現状のパフォーマンスに満足しているなら、何も変える必要はなくて、そうでなければ、手軽なところから変えてみるのも一法だろう。単純に量だけでも周期的に調節するとか、やりようはいろいろある。

 

 とにかく変えるにしても新しく始めるにしてもシンプルなのがいい。継続のしやすさ、それはけっこういろんなものに優先する。