ARCの功罪

 ARCはすくなくともトレーニングプランの導入期に非常に適しているといえる。以前にも述べたとおり、ARCの概要は、Max30%以下の強度で30-45分動き続け、登っている間じゅう毛細血管はフルオープンになっているというもの。

 血管壁にちょうどいい圧を加えつづける―パンプするかどうかのボーダーライン上に居つづける―と、血管のほうで適応して太くなったり新たな血管を作ったりするという寸法。結果として持久力モンスターになれると、そういう触れ込みです。とはいえ、どうやらデメリットもあるようなので、ちょっとまとめてみた。

 

・パワーが下がる?

 

 ンー、たしかにここまで持久的なクライミングをすると、筋肉に対し「できるだけ力をつかわずセーブせよ」と指令しつづけることになって、これは出力を上げるときとまったく逆だなあ。力の出しかたを忘れちまいそうである。

 

 そうすると、パワートレーニングがおわったあと、スキルトレーニングとしてARCを入れないほうがいいのだろうか? 仮にそうだとすると、以前載せたパワトレは、おわったらその日のクライミングを完全に切り上げて、ランかなにかでダウンする、スキルはスキルで別に期間を設けると、そうしたほうがいいのだろうか。そうしないと、高強度→中強度に落ちてしまう、ということなのか、ちょっと比較検証してみないとわからない。

 

・パンプしたまま動きつづけるメンタルを養えない

 

 実際の宿題レベルのクライミングで生じるパンプを味わえないから、メンタル面の準備には役立たない。われわれの目標はARCの上達ではなく宿題をたおすことである。ARCの上達と、宿題トライがもたらす強烈なパンプは相容れない。

 

・強度を出せない言い訳に使われる

 

 何事においても、ラクに強くなるのはムリだ。ARCはパンプしてしまったあとでいかに動きつづけるかを教えてはくれない。

 

 難度を追求するクライミングにおいて、ARCはどこまでいっても魅力的な脇役にしかならないのか、どうか。

 ひとまず報告おわり。