パブロフの

 修業してもしても強くならない。登っても登っても強くならない。それで登る以外のトレーニングを考えだすものの、長続きしないでやめてしまう。

 

 なぜ伸びない? 何が悪い? 何が原因だ? おなじように登っていても、どんどん強くなる奴と、行き詰まる奴とに分かれてくる。重要なのは綿密で適切な計画を立てることではなく、その内容を100%実行しつづけることなのだということに、ようやく気づかされはじめた。

 

 ひと月でもつづければ、つづけられれば、変化があるはずなのだ。それが見られないとしたら、強度が足りないのである。登りこんでいる人間からすれば認めがたいが、強度、すなわち努力レベルが足りないのである。

 

 限界を押し上げるには、プッシュせねばならない。それが足りなければ、現状維持がやっとだろう。ジムでも外でも、強い奴は常にハードな課題に打ち込んでいる。落ちない課題に取り組むだけでは不十分なのだ。

 

 トレーニング計画は単純でいい。まずそれをひと月100%実行できるところまで単純化しよう。それでようやく土俵に立てる。あれもこれもと考えるのはその先の話なのだ。

 

 もっとハードにトライしよう。怪我するって? ケアしよう。してるって? 生活習慣から変えよう。上達したければ、なりに何かを差し出さねばならないようである。

 

 「ガンバ要らない。すでに頑張っているから」。ごもっとも。頑張っている人に頑張れと言っても響かないのは当然だ。頑張りが足らんと言われてもねえ。むう、という気持になってしまう。

 

 いっぽうで、よりハードにトライしろといわれても、どうやってこれ以上プッシュすればいいのか、頭を抱える向きもあるだろう。たとえば何かないかと考えると、

 

  • 条件づけ

 パブロフの犬のように、全力を出すスイッチをつくる。そのためのルーティーンを設定する。男子なら上裸カードを切るとかそういうの。登る前にワッグル(ゴルファーがスイングの前に行うアレ)するとか、深呼吸を入れて吸ってから登りはじめる、等々。

 

  • 吼える

 これも全力を出すスイッチのひとつ。シャウト効果は確実にあるので、吼えれば出力は上がります。

 

 とにかく自分なりの切り替えスイッチをつくることだ。何か決めて、くり返して条件づけしよう。そうすればスイッチに中身が入ってくる。

 以上、連絡おわり。