憂歌団

 こないだ岩を触りだしてから、ひとまず体幹サーキットとストレッチを見直している。

 

 振り返るとこの数年、グレードピラミッドから目を背けていた。細く高くなってしまっていた。久しく伸びなやんで、なにか目に見える成果を得たくて、自分のなかでひと区切りつけたくて、どうにかいっぱしになりたくて、そこにこだわりすぎていた。岩は待ってくれるが、待たせてはいけないのだと、自分で自分を急かして、準備も不十分なまま、ただただ駆けこもうとしていただけだった。技術より力より、何より心構えができていなかった。岩はただ在るだけなのに。

 

 何せ振り返る心地になれたのはいいことだ。それだけでもここに来た価値はあったといっていいかもしれん。