Continental

 タコが釣れた。5月に釣られているところを見かけてからの話だから、およそ半年ほどのトライである。長いような短いような。いったん釣れると釣れるようになるのは、ある種のムーブと同じであるらしい。

 

 順序としては、底にほどほどの大きさの石が密集している場所を探すところからはじめるのがいいようです。浅瀬でぜんぜんかまわない。むしろそのほうが釣りやすいし勝負も早い。

 

 イカ釣り用の餌木を投げて、ゴトゴトしている一帯を底質を感じつつ引いてくると、根がかりに似たアタリが出る。ときどきほんとうに地球を釣っていることもあるものの、タコが押さえ込んでいる場合もあるから、見極めが大事になる。

 

 浅瀬であれば、竿にテンションをかけたまま、左右どちらかに歩いて引く角度を変えて反応をみる。テンションを抜くとタコが餌木を離してしまいがちだし、さりとてあまり強く引くと竿を痛めるか糸をやられるか、または根がかりだった場合に外れなくなる確率が高まる。

 

 ほどほどに引いたまま様子を伺うと、存外動いてくれるケースがある。ビクともしないときは、根がかりを疑いつつ、やはりテンションを張ったまま反対方向に移動する。岩の隙間に引っかかっていたら、これで外れることがある。これでも動かなければ、テンションを一気に抜いて、餌木が岩から離れるよう仕向ける。

 

 釣りやすさの点では、手頃な高さの岩の上に立ったほうがよい。多少とも飛距離を伸ばせるし、海中の状況も見やすいし、糸に角度がつくので、障害物に引っかかったときも竿をあおって外しやすくなる。

 

 何せ岩と間違えるくらいにはタコの身体張力は高い。底を切ってからも重量感はかなりある。

 魚と違い、竿先に振動はほぼ伝わってこない。生命感のある重い塊を寄せてくるような感じになる。海面に浮かせると多少軽くなるので、そのまま一定のテンションを保って巻いてくる。

 鈎にかかっていない場合もあるが、テンションを変えなければ離さずについてくる公算が高い。兎にも角にも水際で岩に張りつかれないよう注意が必要である。

 

 浜であれば引きながら自分が後退すればよいが、釣り位置によっては、寄せるにしたがって竿の角度が変わり、テンションや引く方向が変わって、タコが離してしまうことにつながる。目前でタコが逃去する様には何ともいえぬおかしみがあって、思わずポカンと見入ってしまうが、そののちに訪れるのは悔恨と喪失感である。

 

 何杯か釣れば竿を持つ手のハーフロックが強化されたような気になることだろう。釣ったあとの処置についてはまた次回。