指(1)

 指の痛みの原因といっても、関節、腱、腱鞘、筋肉、神経のどれがどうなっているのかわかりにくいし、痛みが出る箇所そのものをどうにかしようとしても解決しないことが多いので、難儀するのが常である。

 

 「指を曲げずに登れ」なんて言われても困るが、さりとて「休め」と言われてもねえ。聞く耳持ちづらい。登らないとストレスになるし、弱くなるという不安に苛まれるもんね。

 

 マッサージを受けたり、鍼を刺したり、温めたり、あるいは冷やしたりという手も考えられるが、真っ先に思い浮かぶのはやはり拮抗筋へのアプローチだろう。「曲げてばかりでバランスが悪いから、伸ばす筋肉を鍛えましょう」というアレである。オイオイまた鍛えるのかよ。

 

 やり方はゴマンとあるし、専用の器具もいろいろある。

1 セラバンドを買ってきて

2 拳を包んで

3 反対側の手でバンドを引っ張りながら手を開く

 こういうのはポピュラーだわな。この場合は手の曲げ伸ばしになる(伸筋群は収縮して、屈筋群は伸ばされる、いわゆるコンセントリック)。

 

 自分の両手で拮抗させて行う場合はアイソメトリックになる。この方が力発揮としてはより適応的になるだろう。たとえば

1 オープングリップの形にしてから爪のあたりを反対側の手で押して拮抗させる

2 ハーフクリンプの形にしてから第一関節と第二関節の間を反対側の指で押して拮抗させる

 などすれば、よりクライミングに即したトレーニングになると思われる。道具も買わなくていいし気楽である。トレーニング記事など見てみると、1回6秒、5セット程度が相場のようです。

 

 しかしこれ、反対側の手で曲げる方向に力をかけるから、結局屈筋群を使っていると思うのだが…まあ「伸筋群に刺激を入れる」ということで終わっておこう。気になる人は壁や机に対して力をかければ問題ない。正直あまりやろうとは思わんな。これじゃあ早晩「全身をバランスよく鍛えましょう」なんて言い出しかねないもの。個別具体的な問いに対して一般論で答えてどうすんだ、という感じである。

 

 虫様筋とか背側骨間筋とか母子内転筋とか円回内筋とか、それはそれで言いだすとキリがない。むしろマクロに考えた方がいい気はするのやが…また今度調べよう。