ベースライン

 ストロークの鬼といったらアンドレ・アガシだったけど、いまはどうなんだろう。昔はマッケンローとか、アクの強いひとたちがたくさんいた気がする。ゴルフ界もそうだった。ちかごろはアスリートのアスリート化がいよいよすすんできたということだろうか。

 

 ずいぶん昔の動画でクリス・シャーマがアダム・オンドラを評して「Fine-tuned climbing machine」などと語っていたが、そんな感じだろうか。現在のコンペティターなどはもっと特化しているから、もはや最新鋭の宇宙ロケットのようなものなんだろうな、きっと。

 

 ・・・おっといけない、ベースラインの話。

 

 シーズン中にひたすら目標課題に打ちこんで、そのうちにだんだん弱くなってくる。なんだって? どこが? メンタル? ちがうな。技術? むしろ上がっている。なんだい、フィジカルかい。その課題用の身体になって、結果として登れりゃ「一向に構わん」とはいえるものの、オフシーズンに入ってジムに行ったらなんもできない、そういうことはあると思う。

 

 フィジカルというか運動能力、ベースとしての身体の性能、これもやっぱり刺激を与えないと下がってくる。極端な話、サボりまくったら寝たきりになってしまう。宇宙飛行士なんて1ミリもサボっていないけど、地球に戻ったら大変なことになっている。

 

 さりとて「宿敵とたたかっているときにそんなモンやってられるか」と思うのも人情なので―私もやりません、だって疲れちゃうじゃんね―、技術は上がっても、アスリートレベルはそのままなケースはけっこうあると思われる。たぶんこれも「わかっていても突っ込んでいる」落とし穴のひとつではないかと思う。

 

 己を顧みると、この数年フィジカルは上がっていないから、下がって戻して下がって戻ってをくりかえしているようだ。オフになると気まぐれにフィジカルをやったりするから、そんな風になっている。そういう人はすくなくないんじゃないかと思う。

 

 そんなわけで「シーズン中でもすこしはフィジカルトレを入れよう」となったとき、量にしても強度にしても頻度にしても、まずはやりすぎないことだろう。あとはタイミングだろうか。宿題トライした日の〆にするというのはどうか。これなら次のたたかいに悪影響はないはずである。

 

 ビール飲んで反省している場合ではない。やらなきゃできないもんな〜。