疲れた時こそ

 ムーブ。

 

 ルートの話はようわからんものの、登るペースはほんとうに人それぞれだ。ショーン・マッコールとか見ているとけっこう早い。もっと早い人もいるいっぽう、キム・ジャインはスローで超強い。

 

 これは、理想的なペースが確固として存在するわけではなく―というのもルートは一定不変とはほど遠いから―、場合によると、こういうことになるよなあ。

 

 ハイペースとスローペースどっちがいいかという問いは、すごいパワーとすごい持久力のどっちがいいかと問うているのとおなじように聞こえる。どっちも大事で、時に応じて使い分けるものなのだろう。逆に、片方しかできないというのでは、かなりの弱点だと認識せざるを得ない感じである。

 

 レスト技術が高くなると、両方のペースをある程度まで操れるようになり、ルートにおいてレストできるかどうか、その境界が正確に視えるようになって、結果として適切なペース配分ができるようになると、そんな順序ではないかと思われる。

 

 練習法があるとすれば、たとえば

 

・置き直し禁止

 足を一回で正確に置く。置いたら、踏んでいくまで離さない。

 手も同様。よく見て、正確にとる。とったら持ち直さない。

 

・スピード

 落ちない範囲の課題で、まず自分にとって自然なペースで登り、タイムを計る。続いて、9掛けくらいで少しずつタイムを縮めていく。正確さが失われないように。

 

 などだろうか。

 

 上手なクライマーが予想もしないところで落ちるように見えることがあるのは、彼らがパンプしてもテクニックを失わないからである。ちなみに、パンプした状態でできるだけ精度を保つ練習としては

 

1 自分にとってむずかしいルートを選んで登り

 

2 途中でパンプしたら

 

3 そのグレードより2つほど下の課題にスイッチして

 

4 動きの精度を保ちつつ登り続つづけようと試みる

 

 というのが挙げられる。

 

 むずかしすぎるようならすこしグレードを落として、純粋にパンプによってフォールするよう調整する。それでちょっとずつグレードを上げていくのがよい、との由。

 以上、定期連絡。