Caffeinated People

 カフェインは一時的にアデノシンの受容を阻害する。アデノシンはリラックスしたり眠りにつくときなどに出る化学物質で、アデノシンをブロックすると、代わりにドーパミンやアドレナリンが脳の受容体とくっつく。

 

 とくにアドレナリンはバトル用のホルモンで、心拍出量を上げ、肺を広げ、神経伝達を加速し、脂肪の燃焼をうながす。

 

 カフェインの持続時間はひとにもよるが、飲んで数分で効果を表し、3〜5時間ほどで消える。用量はひとまず体重1キロあたり3mgが目安。一気に摂ると不整脈や、軽い幻覚さえ起こるそうだから要注意。まあそんなに摂らないと思うけど、ムチャしないでね! 

 

 もちろん慣れ問題があるから、日常的に飲んでいないひとのほうが効きます。したがってパフォーマンス向上のためにカフェインを使いたければ、そのまえに一週間くらいカフェイン断ちをすると効果的である。

 

 カフェインが有効なのは有酸素運動で、スプリントや90秒以内の無酸素乳酸系の運動にはそれほど効果はない、とどこかで読んだ。いっぽうで筋力向上も効果のひとつとされているようだから、ちょっとこのへんはよく整理できていない。

 

 筋力向上はアドレナリンが原因な気がするけれど、無酸素系の運動をするときはカフェインを摂らずともアドレナリンは十分に出ているということなのかもわからない。

 

 ひとまず、エネルギー源として脂肪を使われやすくするから、長時間動けるようにはなりそうである。一日じゅう岩場にいると、途中で効き目が切れそうでもある。また、ふだんから「ガンガンいこうぜ」の人がカフェインを摂ると、かかりすぎてムーブの精度が落ちるケースも想定される。

 

 もうひとつ、コーヒーを飲めばそれで効くのかという問題もあって、飲食物の場合、その効きを阻害するものが同時に含まれていたりするから、話はそれほどかんたんではない。気になる人はサプリとコーヒーで比較実験してください。

 

 個人的にはクライミングのパフォーマンスアップのためにコーヒーを飲むというのはお勧めしない。煎茶や紅茶もそうだが、飲みたい時に飲むのがいいのではないだろうか。もっというと、おいしく食べ、飲むのがいいですね。呑兵衛は節酒した方がはるかにパフォーマンス向上に資するものと思われる。

 

 めずらしいサプリはおもしろいけど、そればっかりしてもねえ。ほかにすぐさま効きそうなのはクレアチンとベータアラニンくらいだろうか。人体実験という脇道の遊びと心得ておこう。

 

 クライミングはやっぱりパーフェクトナチュラルパワー! ということで終わりにしよう。