4×4(フォー・バイ・フォー)

 角材の規格の話、ではなくて。トレーニングの話。

 

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 最近だと『クライマーズ・バイブル』にもとりあげられているし、ポピュラーなトレーニング法のひとつといってさしつかえないと思われる。にもかかわらずジムで実行している人をあまりみない。どうもこの国のクライマーは根っからトレーニングぎらいで、いちど登った課題には食指が動かないらしい。まっとうなことだと思うけど。

 

 ひとまずトレーニングといったらおおまかに3つにわかれて、強度の順に瞬発力(高負荷低回数、短時間)―パワーエンデュランス(比較的高強度、一定時間)―持久力(低負荷高回数、長時間)となるはずだ。

 

 瞬発力は神経系に働きかけるものだから、全力かそれに近い動きを十分な(5分目安)レストとともにおこなう。持久力は有酸素トレーニングで、まあ長モノだと思えばいい。これはムーブの洗練、レスト技術の向上という意味でスキルトレーニングとみなすこともできる。回復を早めるためにとりいれることもある(ARCトレーニング)。

 

 で、4×4はその中間なのだけど、いまひとつ効用がはっきり説明できない。あちこちの文献にあたってみたところ、パンプしても動き続ける能力と、全体的なフィジカルの底上げを狙っておこなうトレーニングであるとのこと。パワーエンデュランスを高めて、パンプした状態でも動けるメンタルを醸成するというものらしい。ウーン、いまいちよくわからんぞ。

 

 パワーエンデュランスの定義というのもイマイチはっきりしないけど、海外のトレーニングサイトなど見てみると、

 

「50フィートのまあまあのむずかしさのルートの上に、核心として自分のレッドポイントグレードのボルダー課題を追加してみなさい。それがパワーエンデュランスのラフな定義である」

 

などと書いてある。これは・・・ムチャクチャ大変やないか。

 

 さらにしらべていくと、どうやら4×4といっても中身にはグラデーションがあるらしい。より持久力寄りのトレーニングをしたい場合、ルート課題を選ぶとよいとのこと。ひとまずやりかたは以下。

 

 

1 4つ課題を選ぶ(最高グレードより2〜4つ下、でも簡単すぎない。ものによっては「ときどき一撃できるグレード」としてある)

 

2 4課題をレストなしですべて登る

 

3 途中で落ちたとき、

 上部で→次の課題へ

 下部で→その課題を下からもういちどやり直すか、ガバでもなんでも使って落ちたところまで行ってからつづける

 

4 4課題すべて登りきれなかったら、次のラウンドではすこしかんたんな課題に変える。4×4をギリギリ終えられるように調整することが肝要。ラウンド間のレストは4分。これを4ラウンド行う。

 

 これで4×4となる。頻度は週に1、2回でいいらしい。これでひと月くらいつづけると、進歩がみえるんだとか。

 

 

 ・・・ウーン、なんとなくわかるというのは、なにもわかっていないよりも場合によっては注意すべき状態なので、しらべてみたものの、あまりクリアにならなかったな。見るかぎこのトレーニングは、ルートクライマーが核心を攻略するためのもののように思えるのだけど、ボルダラーにも効果があるのだろうか。

 

 ちなみにこれのマイルド版に3×3もあるもよう。そういえばサーシャ・ディジュリアンがやっているとインタビューでいっていた。この辺から試してみるのもアリかもしれない。