オーバートレーニング

 トレーニングは限界を引き上げるために行われる。ゆえに疲れたり、筋肉痛になったりする。身体が適応したら、少しだけ負荷を上げる。また疲れる。身体が頑張って適応する。また負荷を上げる。以下繰り返し。

 

 

 こんな風に漸進的に負荷を上げていくのがトレーニングの基本的な考え方であり、これが過ぎるとオーバートレーニングになるといわれる。あまりに何度も執拗に身体を追い込む、すると頑張っても頑張ってもパフォーマンスが上がらなくなる。こうなったらオーバートレーニングかもしれません。

 

 

 …と、そんなことを言っても、これだけではあまりに茫漠としているし、気づいた時にはもう遅いという事態にもなりかねない。それなりに兆候があるのだろうということで、少しだけ調べてみた。

 

 

・フィジカル面の兆候

 原因のわからない体重減少、怪我の頻度が増える、パフォーマンス低下、安静時の心拍増加、不眠、病気にかかりやすくなる、食欲減退、やたらすぐにパンプする、いつも疲れている、etc…

 

・メンタル面の兆候

 モチベーションの低下、燃え尽き症候群、イライラ、鬱々とした感じ、トレーニングしなければという義務感に駆られる、etc…

 

 この他にもうひとつ顕著なのは、それ自体と関係のないところのストレスを増大させる点。人間関係の不安とか、仕事上のストレスとか、金銭上の不安とか、ふだん気にならなかった部分が心配になりだすようです。

 

 それでもしオーバートレーニングの兆候が出ていたらどうするか。

1 休む

2 身体の声を聴く

3 刺激を変える

4 追い込むのをやめる

5 たのしむことを考える

 

 この辺が対処法になってくるようです。

 

 同じ負荷をかけるのでも、それをどのように知覚するかによって反応は変わってくる。ポジティブに楽しんで修業すればそれだけ効果も上がる。登りのタイプが似ている友人に効いたトレーニングを真似しても何故かそんなに効果が出ない、そんな時の要因がこれだったりする。トレーニングは強制されてするものではないということか。

 

 何せオーバートレーニングは、トレーニングの量および質がクライマーの回復力を上回りっぱなしになると起こりうる。その一方で、ストレスがなければ適応はなく、適度な回復がなければ進歩はない。難しいな。

 

 自分のことをよく分かっている奴が強いのか、あるいは、修業する中で自分のことが少しずつ分かってくるのか。つきつめると、修業を通じて己を知ると、そんなところに落ち着きそうである。

 

 と、いうか、リーマンクライマーがオーバートレーニングになるほど追い込むのはそれだけで相当難しい。