ヤマダリング

 あいかわらずというべきか、好事魔多しというべきか、万事快調、順風満帆とはいかない。いちどくらい「システム・オールグリーン!」といってみたいが、そうあまくはない。

 

 要は心肺が適応するところまで習慣化できていない。ぜんぶ菜種梅雨のせい、というわけでもないので、ヒーヒーいいながらいちばんらくなルートを登っていると、おづんつぁんにでくわした。杖をついている。

 

 「どしたん」と聞くと、ひと月まえにギックリ腰になったという。「寝てばかりいてもいかんとおもって」との由。聞くと先シーズンも剣山を登ったらしい。

 

 おづんつぁんがつかっているペットボトルの荷はいつもどおり路端に積まれていたので―地主さんの許可は得ている―、あいかわらずトレーニングはされているようだが、いまはリハビリ中なので空荷とのこと。これから降りて、また上がってそれから帰るという。リハビリのためのトレッキングである。

 

 おづんつぁんに開脚前屈ができるようになったことを見せると「そんだけいけたらええ。腰も伸びるしな」とのこと。心拍数はさがらず、相変わらずゼーゼーだというと「若いんやからやっとったらできる」との弁。齢81のひとにいわれたら頷くしかない。心拍数が60以上あるというとおどろかれた。つくづく文官である。

 

 おづんつぁんとわかれて、いつものボルダーへ。なぜか中間部ができなくなっている。いごいごしていたらおづんつぁんがもどってきた。15分とたっていない。ギックリ腰じゃないん?

 

 無様なトライをみせるわけにもいかないので、一生懸命やったら登れた。おづんつぁんもうれしげ。よかった。

 

 さいきん2人組のボルダラーによく会うらしく、「下の道沿いに岩を見つけての、ツタを払うんを手伝うてあげたんや」とのこと。おづんつぁんの場所情報にはいつもまどわされるが、せっかくなので降りて行ってみることにした。その顛末はまた次回。

 

 以上、送信おわり。