Non Titled

 すっかり中年の身体に慣れてしまって、岩に至る坂も登れない有様であるにもかかわらず、去年できなかったスラブが登れた。グレードは3級。

 

 言ってしまえば離陸が解明できたというだけの話である。ムーブの引き出しが実家の古箪笥くらい遠くかつボロになっていて、中身がまるで出てこないのだ。

 

 ガシガシ登っていた頃は「クライミングはムーブ主体の遊びである」などと言われても「とはいえパワー要るやろ」と思ってガシガシやっていたのやが、身体がぐずぐずでもひとまずトップアウトできるのは、これは本当にムーブのおかげである。とにもかくにも、岩の上に立ってナンボである。

 

 さらに副産物として、苦手だったカチができるようになってきた。というか、ほぼ全てのホールドに対して、力を込めようとすると指がオートで起きてきてしまう。言い方を変えると、ホールドを押さえ込むことが全然できなくなっている。

 

 話を戻してムーブである。こういうのは他人と登っているとその人が代わりに解決してくれることもあるし、大抵のジムでは仮にトライしている人がいなくてもスタッフがムーブを知っているから、聞いてしまえばそれで一応は解決してしまう。

 まあ中にはそうでもないものもあって、得てしてそういう課題の方が記憶に残るのだけれど、大体においてそうである。

 

 釣りも一緒で、仲間と釣る方が正解に辿り着きやすい。複数で試行すれば単純に釣れる確率も上がるし、釣れた人の仕方を真似ればいいわけだ。

 

 そう考えると、以前にも書いたが、岩登りとウオ釣りには存外似たところがあると言えるのかもしれない。対象が岩か魚かという点はだいぶ違うし、釣り自体にはフィジカルな側面はそれほどないわけだが、不明であるもの、すなわち未知に対して、仮説を立てて検証していくところは、全く一緒である。

 

 もっと言えば、課題解決型のゲームなら何でも、岩登りの考えが応用できる気さえしている。これが組織内の仕事においてもうまく転用できればいいのだが、今のところそうした気配はない。

 

 集団で取り組む仕事は、どうしてもチームスポーツっぽいアプローチになりがちだからかな。また今度考えてみよう。

 

 

 

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